5、アントニオ・マルガリート
メキシコ人のアントニオ・マルガリートはボクシング・ウェルター級で3度世界王者になったボクサーです。
しかし、2009年1月24日、WBA世界ウェルター級のタイトルマッチでチャンピオンとして防衛戦に望んだマルガリートは
シェーン・モズリーに敗れ、ベルトを失いました。
この試合が始まる前、モズリーのトレーナーはマルガリートのバンテージの中に異物があることに気づきました。
マルガリートは指摘を受けて異物を取り除き、バンテージを巻き直して試合に臨みました。
その後の詳しい調査の結果、バンテージが石膏のように固くなる物質だったことが分かりました。
マルガリートは意図的にその物質を使っていたものと判断され、1年間ライセンス停止の処分を受けました。
4、パラリンピック・スペイン代表
パラリンピックに出場できる障害者のカテゴリーは肢体不自由、知的障害、視覚障害です。
誰が見てもわかる肢体不自由の場合と違って、知的障害・視覚障害を理由にパラリンピックに出場できるかの判断基準は、医師の診断だけになります。
それを悪用したのが2000年のシドニー・パラリンピックに出場したバスケットボール・スペイン代表でした。
障害者のみで構成されるはずのチームでしたが、実際は12人中10人が健常者だったのです。
この不正により知的障害者はしばらくのあいだパラリンピックには出場できなくなりました。
知的障害者のパラリンピック出場が再開したのは、12年後、2012年のロンドン五輪からとなりました。
3、ロージー・ルイーズ
1980年のボストン・マラソンでゴールのテープを切ったのは新鋭のロージー・ルイーズでした。
彼女はそれまでのボストン・マラソン女子記録を大幅に上回る新記録を出しました。
しかし、なぜなのか、レース中にルイーズが走っているのを見た人は誰もいませんでした。
ルイーズのあとにゴールしたジャクリーヌ・ガローは、最初から最後まで誰にも抜かれることなく、自分が一番前を走っていたはずでした。
この謎はすぐに解明されました。
ルイーズはゴールまで残り800メートルの地点で、観客の中から突如飛び出して、そのままゴールするという不正を行ったのです。
ルイーズはその半年前のニューヨークシティマラソンでも、地下鉄でゴール前まで移動していたことが明らかになり、どちらの大会でも失格扱いになりました。
しかし本人は不正を認めようとせず、受け取ったメダルの返還も拒んでいるそうです。
この事件から、ランナーがチェックポイントを通過したことを電子的に管理する仕組みなどが整えられました。
2、朴時憲
ソウルオリンピックのボクシング・ライトミドル級の決勝戦で不可解なジャッジがありました。
それは、当時世界最強と呼ばれていたロイ・ジョーンズ・ジュニア 対 朴時憲の試合で起きました。
この試合ではロイ選手が2回のダウンを奪い、有効打も圧倒的に多く決めていたのですが、なぜか判定で朴時憲に敗れたのです。
その後の調査で、朴時憲寄りの判定をした3人の審判が韓国側に買収されていたことが明るみになりました。
ロイ・ジョーンズ・ジュニアに金メダルは帰ってきませんでしたが、代わりに金メダルのレプリカが贈られました。
ロイ・ジョーンズ・ジュニアが試合後の記者会見で「盗まれた金メダルを返してほしい」と訴えたことから「盗まれた金メダル事件」として知られています。
1、フェムケ・ファン・デン・ドリエッシュ
ヨーロッパで人気があるオフロードの自転車競技シクロクロスの大会で悪質な不正がみつかりました。
抜き打ちで行われた自転車検査で、U-23ヨーロッパチャンピオンのベルギー人選手、
フェムケ・ファン・デン・ドリエッシュの自転車に電動アシストモーターが取り付けられていることが発覚したのです。
ドリエッシュはこの自転車ドーピングについて、「間違って友達の自転車に乗っただけ」と言い訳しましたが、間もなく競技からの引退を余儀なくされました。
しかし国際自転車連合はそれだけでは彼女を許しませんでした。
6年間の試合出場停止と罰金支払いを命じただけではなく、それまでに彼女が手にしたメダルと賞金の返還も要求したのです。
軽々しく友人の自転車を借りたのか、不正を行ったのかは定かではありませんが、
その代償は競技者人生を台無しにしてしまうことになってしまいました。
東京オリンピックを控え、不正に走る選手もいるようですが、スポーツは正々堂々行ってもらいたいものですね。
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