・ニジェール・デルタ(ナイジェリア)
ナイジェリアにあるニジェール・デルタは、ニジェール川の三角州である。
この三角州一帯は、7万平方キロメートルあり、1950年から油田開発が始まり、産油地帯となった。
この一帯を流れる川に1970年頃から2000年までに3万リットル弱の原油が流出してしまった。
川に依存して生活している人々は、農作物を育てることもできず汚染された魚を売買している。
この地域が清浄されるのには25年以上かかると言われている。
・チタルム川 インドネシア
インドネシア・ジャワ島を流れるチタルム川は、世界で最も汚い川として有名だ。
川には都市部からのゴミ、川辺の工場からの排水、各家庭からの生活排水などが流され、とてつもなく汚染されている。
驚くことに、この川の周辺住民28万人の人々は、この川の水を生活水として使用している。
当然のことだが、おびただしい量の健康被害者が出ている。
この状況を憂慮した、アジア開発銀行が、川を綺麗にするための資金として400億円を出資し、浄化に向けて進んでいる。
・アグボグブロシー ガーナ
先進国で捨てられた電子機器は、その後どうなるのか知っているだろうか。
私たちが捨てた電子機器のほとんどは、海を越えアフリカなどの発展途上国で再利用される。
その中でもガーナは経済成長が著しいため、多くの電子機器が輸入されている。
しかし、それらの寿命は短く、すぐにゴミと化してしまう。
使えなくなった電子機器のほとんどがアグボグブロシーという街に捨てられた。
それらの電子機器は、ストリートチルドレンや、ホームレスの人たちが中から銅などの金属を回収するために燃やしている。
そのため、ダイオキシンやフランなどの発がん性物質が街を覆い、大気や土壌汚染が深刻なものとなっている。
燃やした煙をすぐ近くで吸っている、ストリートチルドレンの子供たちの多くがかんを患い亡くなっている。
このようにして、子供たちが命を削って取り出した金属は再度先進国に輸出される。
・マタンサ・リアチュエロ アルゼンチン
アルゼンチンの首都を流れているマタンサ川沿いには、およそ1万5000もの事業者があり、それらが金属の混合物や有害物質を投棄している。
特に動物の皮を革製品にするための「皮なめし」に使われる塩基性硫酸クロムや金属化合物の廃棄が多い。
事業者が廃棄をちゃんと行わなかった代償はマタンサ川周辺住民の人々が払っている。
住民たちには呼吸器系の病気のほか下痢に関連した病気が蔓延し、人口20万人のうちの約6割の人々が川の汚染に起因する病気に苦しんでいるといわれている。
250億円が、浄化プロジェクトの予算として確保されたが、150億円が無関係なプロジェクトに使用され、浄化は進んでいない。
・ハザリバーグ バングラディッシュ
バングラディッシュのハザリバーグ。この地は牛革の生産地として有名な場所だ。
ここには稼働中の270もの皮なめし工場があり、それに従事する16万人もの人々が住んでいる。
なめし工場は8000人から12000人の労働者を雇い、化学物質を用いた時代遅れの方法で皮をなめす。
そのため、多くの六価クロム排出される。六価クロムは、触れれば皮膚炎や腫瘍の危険があり、吸入したり体内に入ればがんを引き起こす可能性がある物質だ。
この六価クロムをはじめとした有害物質は、近隣のブリガンガ川に排出される。
この川の水は生活用水としても使用されており、周辺住民の健康をむしばんでいる。
私たちが何気なく手にしている牛革製品は、このような過酷な環境で作られたものなのである。
・ノリリスク ロシア
中央シベリア高原にある小さな街「ノリリスク」は、ニッケルや銅、コバルトなどの金属の生産地として名高い。
この地で、世界に流通するニッケルの17%が生産されているため、年間約200万トンものガスが、ノリリスクに排出される。
その結果、大気汚染は深刻なものとなり、この街から30キロ圏内には、緑が溢れる光景は見ることができない。
また、ノリリスク周辺住民の平均寿命は、ロシア人の平均寿命と比べ約10年も短いという。
多くの人は、呼吸系や消化器科系関連の病気で死亡する。
・カラチャイ湖
1950年代、旧ソビエト連邦時代にこの地にあった「マヤク原子力施設」では、幾度なくメルトダウンが起きていた。
さらにその際に生じた核廃棄物は、近隣にあったテチャ川と、このカラチャイ湖に廃棄されていた。
それらの放射性物質は、未だに川底、湖底に沈んでおり周辺に放射線を放出している。
近隣に住んでいた住民は被爆し、癌や白血病、先天性欠損症に悩まされた。
一説によれば、カラチャイ湖周辺に廃棄された放射性物質はチェルノブイリの20万倍とも言われており
地球上で最も汚染された場所だとされている。
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