5、異端者のフォーク
イスラム教徒の支配から脱し、国土を回復した15世紀のスペインのカトリック教会は、
国内に残っていたイスラム教徒とユダヤ教徒を排除するためにローマ教皇の許可をとって、異端審問を始めました。
異端審問では、異教徒を改宗させるために拷問道具を用いました。異端者のフォークはその拷問器具の一つです。
これは両端がフォーク状に尖った金属で、その先がそれぞれ審問対象者のあごと喉元にくるように括りつけられました。
異端者のフォークを取り付けられた人は眠ることができません。
頭を下に傾けるとフォークの先がのどと胸元に刺さるからです。
拷問を受けた人たちは、長い間睡眠を取れないため心が折れて改宗したと言われます。
4、スコールド・ブライドル
1567年に初めて文献に現れるスコールド・ブライドルは、「ガミガミ女のくつわ」という直訳からもわかるように、口うるさい女性をお仕置きするための拷問器具でした。
この拷問器具は鉄で作られた仮面の形状で、口の部分だけが内部に出っ張っています。
この出っ張りが口の中に入るため、仮面を被せられると喋ることができません。
このクツワを装着された女は公衆の面前に連れて行かれ、あらゆる辱めを受けました。
当時のヨーロッパで、女性は子供を産むための奴隷に近い存在でした。
個性や独自性、積極性などは求められていなかったので、このように無理やり黙らされていたそうです。
3、親指つぶし機
指を痛めつける拷問は比較的簡単にできるため昔から至るところで行われました。
爪を剥がしたり、指の関節を折ったりするのに、それほどの力も複雑な道具も必要ありません。
近世ヨーロッパで使われていた親指つぶし機もシンプルなもので、2枚の板をネジで止めたものでした。
板の間に指を入れ、万力で締め上げて指をつぶしていく道具です。
恐怖を与えながらゆっくり少しずつ力を加えていくことができるのがこの拷問器具の特徴です。
また鉄製の親指つぶし機で、指を挟む側に小さな鋲をたくさんつけたものも開発されました。
指を置く位置を微妙に変えることで異なる鋲が指に当たり、違った痛みを与えることができるようになっていたそうです。
2、審問椅子
宗教裁判では数々の拷問器具が使用されましたが、ドイツを中心に19世紀まで使われた著名な拷問器具といえば審問椅子です。
この椅子は腰掛ける部分はもちろんのこと、背もたれ・肘掛けにも尖った針が敷き詰められています。
審問に掛けられた人は裸でこの椅子に座らされるのですが、針が全身の肌を突き刺すので、たいへんな苦痛がもたらされます。
ときにはもっと針が肌に食い込むようにと、体を揺さぶられることもありました。
審問椅子のバリエーションには、ネジで針が飛び出すものや、腰かけを下から火で熱するものもあったと伝えられています。
1、ユダのゆりかご
中世ヨーロッパの魔女狩りで使用されたユダのゆりかごは、魔女の疑いがある者を眠らせないように拷問する拷問器具でした。
魔女疑惑を受けた人は後ろ手に縛られ、滑車を使って吊るしあげられ、先の尖った台の上に落とされました。
この、先の尖った台がユダのゆりかごです。
刑吏は拷問を受ける人の下半身に 台の先端が刺さるよう位置を調節して、何度も吊り上げては落下させて、ということを繰り返しました。
ただし、拷問で殺すことは許されていませんでした。
間違って死に至らしめることがないよう、吊るし方の技術が改良され、また、吊るされた人の姿勢を固定するための補助具なども開発されました。
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